「去年の冬、きみと別れ」中村文則
小説 幻冬舎
先日、映画「去年の冬、きみと別れ」を観て、
宣伝どおりすっかり騙されました!
映画を観た感想はこちら→【感想】去年の冬、きみと別れ
映画が面白かったので、
「映像化不可能と言われた原作小説は一体どうなっているのか?」
興味をひかれたのでも読んでみました。
どうなるのか?どうなってるのか?が気になったこともあって、
私にしてはずいぶん早く読み終えました。
小説自体も改行が多くて読みやすかったです。
さて「去年の冬、きみと別れ」の映画と小説は、
違うけど、同じ。
同じだけど、違う。
物語の核心部分は同じで、
タイトルの「去年の冬、きみと別れ」の理由も同じ。
でも、物語の「語り方」も現在進行形の映画と、
過去を振り返る形の小説という違い、
他にも登場人物の立ち位置も違うので、
小説を最後まで読まないと全体がわからない。
最後まで読むと、何がどうなっていたのかの全容が見えます。
途中、ひっかかりを感じていた部分が「そういうことか」と理解でき、もやもや感が晴れました。
さらに、なるほど、これはそのまま映像化はできないなあと納得。
そして、原作小説の「ひっくり返す」感じを残したまま。
うまく改変して映画化した手腕は見事!
あらためて感心しました。
先に観たせいもあって、映画の方が私は楽しめたかなー。
ネタを先に知っていたので、小説の方は映画で観たときほどの驚きはなかったし。
でも、ネタを知っているのに「煙に巻かれる感じから、もやが晴れる」感覚を得られるのはすごいなあと。
「去年の冬、きみと別れ」という1つの作品で2度楽しめました。
猟奇な話ですが、興味のある方はぜひ。